ああ、終わった。そう呟いた。
目の前に広がる血液と、自分から流れ出た血液は同色。左手に握った斬魂刀から絶えず血糊が垂れ、半端ではない量が地面にどろどろと広がる。
空気が鉄味だった。ついに気体にまで霧散してしまったか、とどうでもいいように思いながら地面に伏した虚を見た。
指折り数えようにも腕が上がらない。ので、頭の中で数えることにする。大虚が奥に1、あとは中級の虚が3、弱小が…24。よくもまぁこれを一人で、と我ながらため息をつきたくなった。
「ひ、ひつが、たい、ちょ」
あまりにも馬鹿馬鹿しいほど震えた声になんとか頭を動かす。
下級死神が折れた浅打片手にこちらを見ていた。「ああ。……無事か」思わず漏れた呟きに、結構余裕が残っているんだな、と思う。
絶えず斬り続けた氷輪丸はもう限界――正しくは、自分の霊力が。何かに引っ張られるように地面に倒れる。
「日番谷隊長!」
耳に入る声になんとか返すべきなのだろう、口を開いたが声は音にならなかった。
震えた呼吸を1回。すぅ、と吐いて、それだけ。それからは瞬間的だった。意識がぱたんと途切れる。
途切れる瞬間思い出したのは今日の日付。ああそう、1ヶ月も前から馬鹿な奴らが諸手をあげてあの日を祝そうと言っていたか―――悪いことをした、と思った。
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