また中途半端な時期に喧嘩してしまったものだと思う。
いや、あれは喧嘩なのか。一方的な言葉の暴力ではないのか。「ヒル魔さんの鬼畜無駄知識頑固頑な意地っ張りもう知りません!」なんだか似たような単語が1つ2つ羅列していたりどこぞの母親のような口調だったり、恐らく向こうも混乱していたのだと思う。
「ねえヒル魔くん、いい加減セナに謝ってくれない?あなたたち2人だとそこまで緊迫感は無いんだけど、私、セナの拗ねた顔見たくないのよ」
「じゃああっちに謝らせろ」
「いやよ、私はセナと同じ意見です」
「…」四面楚歌だ。
テーブルの上に置かれたスコアを1枚1枚捲りながら、まもりは淡々とそれだけ言ってファイル整理をやめた。
それからサインペンを取り出し何事かを書くと、自分の仕事は終えたとばかりに立ち上がる。
「教えてあげるけど、たまにセナって頑なよ」
「…」
パタン。閉じた扉を見つめて、それ位俺だって知ってる、と小さな声で呟いた。
いつだってそう、あいつは俺のことに対しては頑ななんだ。
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