A tea party starts. A girl looks for that child. But it is not found. method of comrades ? -- she searches intently
「アレンくんはどこにいったのかしら」
廻る廻る。螺旋階段を駆け上って高いところから白い彼を探して。
すれ違ったラビ、神田に居場所を聞いてもわからない。
「ねえ、どこにいったか知らない?」
通りすがりの探索部隊にまで声をかける。
誰もいないですよ。って、返事は冷たく、そしてどこか畏怖したような声だった。
「そう、ありがとう」
何のためにアレン君を探してるんだい?
実の兄がそう言った。私は勿論「今日は天気がいいから」と答えた。
答えになっていない答えの中から答えを導き出そうとする人のいい兄に背を向けて、部屋から出た。
でも嘘は言っていない。今日は天気がいいから。
外は晴天、気分は上々。だったらケーキでも作ってアレンくんとふたりでお茶会でもしようかと思ったのだけど。
ケーキを焼いている合間にこう探してみてもなかなか見つからない。
「あら、ミランダ」
「リナリーちゃん」
突き当たりの角を曲がったところで、黒い服に身を包んだミランダに出会った。
足を止めて心持ち顔を上げる。ミランダは手の中に大量の書類と絆創膏を持っていた。
「どこか、怪我をしたの?」
「…いいえ、私じゃないのよ。ある人に、持っていくの」
書類はどうやらそれのついでらしい。
書類関連と言ったらリーバー班長や兄しか出てこないので、それ以上の追求はしなかった。エクソシスト仲間と言う事でほんのり、私の心が緩む。
「リナリーちゃんは?」
「あ、そうだわ。ミランダ、アレンくんを知らない?お茶会をしようと思うの。ケーキも焼いてるのよ」
一瞬、ミランダが震えた気がした。
次の瞬間ミランダは控えめな笑顔を浮かべて、「そうなの、素敵ね。でもごめんなさい、知らないわ」と答えた。
僅かな動きで、絆創膏がはらり・と散る。
「あ、ごめんなさい」
私はしゃがみこんで絆創膏を拾った。質のいい絆創膏らしく、少し高級な紙を使用してある。
数枚拾い集めると、立ち上がってミランダに渡した。ミランダはありがとう、と呟いて、私の手の中からそうっと絆創膏をとる。
「それじゃあ私、この辺で」
「うん、引き止めてごめんね。それじゃあ―」
言いかけ、すれ違った瞬間に振り返って、足を進めながらミランダに呼びかける。
「怪我をした人に、お大事にって、伝えて」
一瞬ミランダは目を見開いて、なにごとも無かったかのように。
「わかったわ」
角に消えた。
私、リナリーちゃんが作ったケーキを見たわ。
カシスレッドのタルト。上手に作ってて、ワインを少し入れたようで、ちょっぴり大人向け。
まるで血の色のようだった。着色されたケーキの色が、とてもとても、鮮やかで、怖くて。
「ねえ、わかる?アレンくん」
私は目の前の墓石に話しかける。
手の中の絆創膏をそっと墓石に添えて、「あなたはよく怪我をするから」小さく呟いて。
「リナリーちゃん、ずっとあなたのこと、待ってるの」
あなたが死んでから――ずっと。
狂ったように微笑んで、毎日毎日お昼の3時にきっかり。教団内を歩き回って、「アレンくんはどこ?」って。
皆すっかり慣れてしまった。最近はその時間帯になると、部屋から出てこなくなる人もいるらしいのよ。
(『―…見てない』)
(『…知らないさぁ。どっかで、寝てるんじゃねぇ?』)
毎日毎日、あなたのことを忘れないみたいに。
傷だって癒えないわ。ラビ君だってそうだし、神田君…?だって、そうよ。少しでも治れば次の日にまた化膿する。
そして一番何も知らないまま微笑んでるのは、リナリーちゃんだものね。
「あぁ―――」
絆創膏をあげればよかったわ。
彼女、ケーキを作る時に必ず手首を間違えて切っちゃうらしいの。
今日もほんの少し、切ったみたいで。絆創膏を、
「あげればよかったわ」
(ねえアレンくん)
(どこ?)
It is not found. It is not found. Then, let's wait to come out. A girl cuts a cake. A cake is cut carefully. Blood flowed from the wrist "oh, troubled."
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